AULICUSレーベル(イタリア)
イタリアの若手による意欲的な1枚!
ベートーヴェン(リスト編)の運命とアイヴズ:コンコード・ソナタ
ALC 0137
「ベートーヴェン=リスト:交響曲第5番/アイヴズ:コンコード・ソナタ」
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第2番「マサチューセッツ州コンコード1840-60年」
(Ⅰ.エマーソン/Ⅱ.ホーソーン/Ⅲ.オールコッツ/Ⅳ.ソロー)
ベートーヴェン(リスト編):交響曲第5番ハ短調Op.67
シモーネ・リブラーレ(ピアノ)
録音場所:ファツィオリ・コンサートホール,79’04
※イタリアの若手による意欲的なカップリングの1枚。エッジの効いた歯切れの良い演奏で、聴き終えた時の爽快感は格別なものがある。この音楽の作り方はアイヴズには勿論だがベートーヴェンでも活かされている。現代音楽に深く傾倒しているだけに、この2曲の組み合わせはアルバムとしても大変成功している。ベートーヴェン=リストと言うとグレングールドの録音が思い出されるが、良い意味でグールドの記憶を吹き飛ばしてくれるダイナミックな弾きぶりには共感できるところが多い。
シモーネ・リブラーレはイタリアの若手ピアニスト。マスカーニ音楽院で学び、ピネローロ音楽院で現代音楽を学ぶ。ゲオルグ・フリードリヒ・ハースの「11,000本の弦」の演奏に参加するなどイタリアの現代音楽界を牽引するピアニスト。イタリア国営放送・ラジオ3にレギュラー出演し、リサイタルや協奏曲のソリストとして活躍。
※その他AULICUSレーベル新譜
ALC 0134
「夢と他の音楽」~ブライアン・リチャード・アール:作品集
①夢Op. 33-2「黄金のワインが溢れ出せば、何も問題にならない」
②オクタヴィオ・パスに触発された3つの小品~マドリガルOp.14-1
③レオノール、2つのギターの為の3つのスケッチ~ある夏の夜Op.28-2
④全く無意味な3つの小品~静寂Op.49-2
⑤オクタヴィオ・パスに触発された3つの小品~模範Op.14-2
⑥レオノール、2つのギターの為の3つのスケッチ~あなたが私を連れて行く夢を見たOp.28-3
⑦夢~広場とライトアップされたオレンジの木Op.33-1
⑧オクタヴィオ・パスに触発された3つの小品~通路Op.14-3
⑨夢~裸の地球Op.33-4
⑩夢~夢の入り口から彼らは私を呼んだOp.33-3
⑪レオノール、2つのギターの為の3つのスケッチ~そこ、高地でOp.28-1
⑫夢~夢の中での手かも知れないOp.33-5
⑬全く無意味な3つの小品~どこにも無い円Op.49-1
⑭夢~原野Op.33-6
⑮全く無意味な3つの小品~何も無い断片の繰り返しOp.49-3
マッシモ・ラウラ(ギター)
エドアルド・ペルラスカ(第2ギター)
マウリツィオ・シメオーリ(フルート、アルトフルート、コントラバスフルート)
ジャンニ・アルファッキーノ(ベル)
録音場所:ミラノ・ブルーノートスタジオ、57’04
※ブライアン・リチャード・アールは王立ノーザン音楽学校で、チューバ、コントラバス・トロンボーンを学ぶ。ロンドン大学で、作曲と指揮を学ぶ。指揮法を、ジョージ・ハーストに師事。1983〜2021年まで、ミラノ・スカラ座管弦楽団に在籍。2006〜2021年まで、スカラ座・ブラスの指揮を務める。1995年に作曲家としてデビューする。これ迄に、管弦楽、吹奏楽、オペラ、室内オペラ、バレエ音楽、映画音楽などを手掛けてきた。
このアルバムは「夢 Op.3」を中心にして、その他の小品をランダムに組み合わせていることが、アルバムタイトルの由来。現代音楽的な作品とメロディックな作品の組み合わせによる意外性を楽しみたい。フルートも3種類のものが使用されていて、いつもよりも変わった響きで聴かせてくれる。ベルの使用も大変効果的に感じられる。録音も大変好く、楽器が大きくなり過ぎずに適切なサウンドステージが展開される。
ALC 0135
「1611ダークネス & ライト」
~カプスベルガー(1580-1651)&ロベール・バラール(1530-88):リュート作品集
バラール:リュートの入り口、最初の歌/バレエ第3曲/女王のクーラント第2曲/女王のクーラント第16曲
カプスベルガー:トッカータ5/ガリアルダ8/クーラント12
バラール:リュートの入り口第1曲/村人のバレエ/天使のクーラント
カプスベルガー:トッカータ2/ガリアルダ2/クーラント4
バラール:リュートの入り口第3曲/神々のバレエ/最初のターン/女王のクーラント第10曲/最初の歌のバレエ
カプスベルガー:トッカータ1/ガリアルダ1/クーラント1
バラール:リュートの入り口第5曲/バレエⅠ最初の歌/バレエⅡ最初の歌/天使のクーラントⅡ
マッシモ・マルケーゼ(リュート)
録音:2023年6月 モンベッロ・モンフェラート、聖アンナ教会 56’02
※このCDは、西暦1611年をキーワードとして製作されている事で非常に興味深いものである。カプスベルガーは最初の「タヴラチュール式楽譜」によるリュート作品集、バラールは最初のリュート作品集がそれぞれ出版されている。また、ラウレンティウス・グライフによってこれまでに無い品質の高いリュートが製作された年である。日本では、佐藤豊彦氏が愛用している。この録音で使用されているリュートは、1977年マイケル・ロウ製作による10弦のリュートである。教会での収録だが、残響は程良くクリアな音色で収録されている。ルネッサンスの空気感と言うよりも現代の空気感で、曖昧さの無い演奏が心地よい余韻を残してくれる。アルバムのテーマも含めて古楽の愛好家にお薦めしたい好企画盤である。 マッシモ・マルケーゼはロンドン王立音楽院で学ぶ。ヤコブ・リンドべルイ、エンリーコ・ガッティ、オッターヴィオ・ダントーネ、フラヴィオ・エミリオ・スコーニャ他の音楽家と数多く共演している。RCA, STRADIVARIUS, TACTUS, BRILLIANT CLASSICS, CENTAUR RECORDS等から数多くのCDをリリースしている。
ALC 0136
「ドゥース・ノヴェチェント(優しい20世紀)」
①②リッカルド・ピック・マンジャガッリ:2つのリュネール Op.33
(Ⅰ.月明かりの下の会議/Ⅱ.オラフの踊り)
③-⑤リッカルド・ピック・マンジャガッリ:3つのワルツ奇想曲Op. 20
⑥リッカルド・ピック・マンジャガッリ:ラプソディア・エピカOp. 68
⑦リッカルド・ピック・マンジャガッリ:ブルレスカ
⑧ジェンナーロ・ナポリ:泉が言っていること
⑨-⑭ジュゼッペ・フルガッタ:新しい青春
(Ⅰ.ゴンドラの中/Ⅱ.滑る/Ⅲ.冗談/Ⅳ.夜は/Ⅴ.小さなワルツ/Ⅵ.タランテラ風)
⑮アミルカーレ・ザンネッラ:前奏曲とフーガ Op. 67
⑯アジーデ・テドルディ:子守歌
⑰レンツォ・シルヴェストリ:閃光
ヴィンチェンツォ・カルーソ(ピアノ)
録音:2024年7月 エリオス・スタジオ、60’04
※アルバムのタイトルは、フランス語とイタリア語を合わせたもので「優しい20世紀」と日本語化できる。全て20世紀に作曲された作品で、カルーソにとって思い入れのあるものが選曲されている。作品は前衛音楽の様なものでは無く、イタリアらしい歌に満ちているが現代の作曲技法を凝らした佳曲ばかりである。世界初録音も多く収録されており、企画と録音の良さで楽しめる一枚となっている。
ヴィンンチェンツォ・カルーソはナポリ音楽院で、ピアノ、合唱指揮、作曲を学ぶ。ナポリ・サンカルロ歌劇場で合唱指揮を務め、リッカルド・ムーティ、ズービン・メータ、ファビオ・ルイージ、ユライ・ヴァルチュハ、ネッロ・サンティ、ダニエーレ・ガッティ、ダン・エッティンガー他と共演。合唱指揮者、合唱ピアニストとして活躍しているが、ソロ活動や他のジャンルのアーティストとの共演も非常に多い。
ALC 0138
シューベルト:
ピアノソナタ第4番イ短調Op.164、D.537
4つの即興曲Op.90、D.899
セバスティアーノ・ブルスコ(ピアノ)
録音:2007年6月 サンタニェーぜ・イン・アゴーネ教会(ライヴ)、50’51
※セバスティアーノ・ブルスコはローマ出身。アルド・チッコリーニ等に師事。大変に洗練された解釈で知られている。リッカルド・シャイー、クラウディオ・シモーネ、リチャード・ヒコックスなどの指揮者と共演。AULICUSレーベルからシューベルトの即興曲集、ショパンのバラード、夜想曲集、モーツァルト:ピアノ・ソナタ集などのCDがリリースされている。
この1枚はライヴ録音の良さが全編にわたって楽しめる。クリアで濁りの無いタッチがシューベルトに相応しい。「洗練された解釈」というのは、この様な演奏の事と頷ける仕上がりである。教会でのコンサートだが、無駄な残響も無く最後まで澄んだ音色で聴かせてくれる。「4つの即興曲」は勿論、聴かれることの少ない「ソナタ第4番」まで、ブルスコの美学が感じられる好録音である。
ALC 0139
「レオン・ボエルマン(1862-97):未編集室内楽作品集」
①青春
②ムーア風の歌
③私は求めるだけ
④バッカスの歌
⑤子守歌
⑥私たちの愛
⑦チェロとピアノのための小品
⑧-⑩チェロ・ソナタへ短調Op.40
(Ⅰ.マエストーゾ/Ⅱ.アンダンテ/Ⅲ.アレグロ・モルト)
①-⑥ソフィア・ロッシ(ソプラノ)
①-⑥ファブリツィオ・ラッボリーニ(ピアノ)
⑥-⑩ロリス・ロッシ(チェロ)
⑦-⑩ボリス・イリエフ(ピアノ)
録音場所:ミラノ・イル・コルティーレ・スタジオ、48’20
※アンドレ・ナヴァラが普及に努めた「チェロ・ソナタへ短調」をメインに小品と歌曲を組み合わせた作品集。出演者は全てヴェルディ音楽院で学んでいる。チェロ・ソナタへ短調以外は、ロリス・ロッシがフランス国立図書館のアーカイヴから探し出したものである。CDタイトルにある「未編集」はこの事を指しているようだ。ボエルマンはフォーレと同じ、ニデルメイエール宗教音楽学校で学んだ作曲家だが若くして亡くなっている。その為かあまり耳にする機会が少ないので、このCDは大変に史料的な価値が高い。演奏内容も良くフランス音楽の愛好家にはお薦めしたい。
チェロのロリス・ロッシはミラノ・ヴェルディ音楽院でチェロを、ミラノ大学で、国際関係と社会プロセスを学ぶ。パリ地方音楽院で、ラファエロ・プローに師事。ヨー・ヨー・マ、ブルックリン弦楽四重奏団のワークショップに参加する。2018年より「カノーヴァ室内管弦楽団」に参加している。