MARSTONレーベル(アメリカ)

ロシア出身の往年の名ピアニスト
ジョゼフ・レヴィン(1874-1944) 全録音集

53023-2(3CD)
「ジョゼフ・レヴィン 全録音集」
チャイコフスキー:18の小品 Op.72~トレパック
 1920年12月
ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 Op.23-10
ベートーヴェン(ブゾーニ編):エコセーズ
シューマン(タウジヒ編):「密輸人」 (原曲 スペインの歌芝居 Op.74-10「密輸人」)
 1921年1月 ニューヨーク
シュルツ=エヴラー:J.シュトラウス2世の「美しく青いドナウ」の主題に基づくアラベスク
 1928年5月1日 ニュージャージー州キャムデン
シューマン:トッカータ ハ長調 Op.7
シューマン(リスト編):春の夜
 1935年6月7日 ニューヨーク
ショパン:
練習曲 変ホ長調 Op.10-11/練習曲 嬰ト短調 Op.25-6
練習曲 ロ短調 Op.25-10/練習曲 イ短調 Op.25-11 「木枯らし」
 1935年6月10日 ニューヨーク
ショパン:
前奏曲 変イ長調 Op.28-17/前奏曲 変ロ短調 Op.28-16
ポロネーズ 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
 1936年1月6日 ニューヨーク
ドビュッシー(ラヴェル編):祭り
 共演:ロジーナ・レヴィン(ピアノ) 1935年6月11日 ニューヨーク
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448
 共演:ロジーナ・レヴィン(ピアノ) 1939年5月23日・1935年6月11日 ニューヨーク
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448
 共演:ロジーナ・レヴィン(ピアノ) 1939年5月23日 ニューヨーク
モーツァルト:3台のピアノのための協奏曲 ヘ長調 K.242(2台ピアノ編曲版)
 共演:ロジーナ・レヴィン(ピアノ)
 ジョン・バルビローリ(指揮)ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
 1939年10月29日 CBS放送録音
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25
 共演:ペロレ四重奏団員 1942年12月30日 WQXR放送録音
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23~第2,3楽章
 共演:ロザリオ・ブードン(指揮)NBC交響楽団
ショパン:前奏曲 変イ長調 Op.28-17/練習曲 嬰ト短調 Op.25
 1933年2月23日 NBC放送録音-6
ショパン:練習曲 イ短調 Op.25-11 「木枯らし」
 1935年10月24日 フライシュマンズ・イースト・アワー
ショパン:ポロネーズ 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
 1935年11月3日 ザ・マジック・キー
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23(第1楽章冒頭約101小節欠落)
 共演:アルバート・ストッセル(指揮)ウスター・フェスティヴァル管弦楽団
ショパン:前奏曲 変ロ短調 Op.28-16
 1936年10月6日 マサチューセッツ州ウスター ウスター・フェスティヴァル

ジョゼフ・レヴィン(ピアノ)
録音:1920~42年 ADD、213’53
※marstonがまたピアノ・マニアを狂喜させるCDを発売した。ロシア生まれで米国で活躍したピアニスト、ジョゼフ・レヴィンの全録音集、しかも商業録音に留まらず、放送録音をたくさん収録している。
ジョゼフ・レヴィンは1874年、ロシア西部のオリョールの生まれ。少年時代にかのアントン・ルビンシテインに大いに気に入られたという。1892年にモスクワ音楽院を修了後は欧米で広く活躍、絶大な人気を誇った。しばらくベルリンを拠点にしていたが、1919年に米国に移住、1922年には妻でピアニストのロジーナと共にジュリアード音楽院の教職に就いている。以来米国内を中心に演奏、教育に活躍。1944年に心臓発作で亡くなった。
極めて優秀なピアニストでありながらジョゼフ・レヴィンの録音はとても少なく、商業録音をすべて集めても1時間半に満たない。しかしこのmarstonの3CDでは、ありがたいことに、それらを超える時間の放送録音などを集めて収録している。ことにニューヨーク時代のジョン・バルビローリと共演したモーツァルトの協奏曲や、不備があるとはいえチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は非常に貴重だ。そして、これまで録音が少なかったことから旧世代のヴィルトゥオーソ・ピアニストと思われがちだったレヴィンが、優秀な技術で全体をしっかり見据えた明晰な演奏をする人だったこともよく分かる。彼が教育者として大成した理由が彼の音楽そのものからくみ取れるだろう。