東武レコーディングズ(日本)
幻のチェリビダッケ・リスボン・ライヴ
ブルックナー:交響曲第8番
正規音源からUHQCDにて正規リリース!
チェリビダッケの第8番の最後、音楽はゆっくりと歩みを止めるが、そのとき時間とともに空間も終わったような、錯覚と呼ぶには鮮烈すぎる体験が起きる。音楽という時間の完成が、巨大な建築物の完成のような空間的なものとして把握される。まったく独特だった、と改めて思う。秘儀という言葉がふさわしい演奏をするような指揮者は、20世紀の終わりごろ、チェリビダッケしかいなかった。(許光俊)
TBRQ 9009(UHQCD 2枚組) ¥2,700+税
ブルックナー:交響曲第8番
タイミング:[19:22][15:47][33:23][31:11]
セルジュ・チェリビダッケ(指揮)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1994年4月23日コリセウ・リスボン・ポルトガル国営放送(RTP)によるデジタル・ライヴ録音
※チェリビダッケの最高傑作どころか、ブルックナー演奏の頂点とまで賞賛された伝説のライヴ「チェリビダッケ、リスボン・ライヴ」が正規盤として初登場。この演奏はプライヴェート盤で発売されるや否やセンセーションを巻き起こしたうえに入手困難となり、ネットオークションでも高値を記録した幻の演奏です。極限をも超えた超スローテンポで全曲を貫徹。そして点描のようにあらゆるエレメントを彫琢してまいります。これはチェリビダッケ晩年の特徴的なアプローチでありますが、ここまでチェリビダッケの魔術が決まりに決まっている演奏は他にありません。演奏時間は100分を超え崇高な神々しさにはひれ伏すばかり。ミュンヘン・フィルの音色はどこまでも柔らかく繊細、それと同時に眼前に巨大な建築物が突如として聳え立つかのような恐ろしい存在感を誇ります。これを聞くとチェリビダッケがマーラーにはあまり関心が向かなかったことも不思議ではありません。このブルックナーにはハイドンからベートーヴェン、ワーグナー、ドビュッシーからラヴェル、ストラヴィンスキーまでヨーロッパ音楽の全てが内包されているかのような素材の多さと複雑味が感じられます。この年の10月には来日公演が予定されておりました。ブル8も予定に入っていましたが、体調不良のためにキャンセル。以後の来日は叶わぬ夢となりました。音源発掘も困難を極め、ポルトガル大使館の協力を得てのついに発見。ご子息セルジュ・イオアン・チェリビダキ氏、ミュンヘン・フィルの承認を得た正規盤です。