STRADIVARIUSレーベル(イタリア)
武満と譚盾を中心とした
静謐な空気感に溢れたピアノ作品集!
STR 37333
「シュティッレ(静けさ)」
①ジョン・アダムス:中国の門(1977)
②武満 徹:雨の樹素描Ⅰ(1982)
③武満 徹:雨の樹素描Ⅱ~オリヴィエ・メシアンの追憶に(1992)
④-⑪タン・ドゥン(譚盾):水彩による8つの思い出(1978-79)
(Ⅰ.欠けた月/Ⅱ.飛び跳ねる豆/Ⅲ.牧童の歌/
Ⅳ.青い衣の尼僧/Ⅴ.赤い荒野/Ⅵ.古代の埋葬/
Ⅶ.浮き雲/Ⅷ.狐の嫁入り)
⑫フェデリコ・マリア・サルデッリ:秋の雨(2010)
⑬ジョルジョ・コロンボ・タッカーニ:シュティッレ(2022)
アウローラ・アッヴェドゥート(ピアノ)
録音:2024年9月30日 モンテ・サン・ジュスト、ピアノフォルテ・ラボ [43:08]
※アッヴェドゥートはガッララーテ・プッチーニ音楽院で学び、現代音楽の解釈をベルガモ・ドニゼッティ音楽院で学ぶ。主なレパートリーは、イタリアの作曲家を中心とした現代音楽である。現代曲のプログラムで全国各地でリサイタルを開催している。また打楽器奏者、マッシミリアーノ・ヴァロットとのデュオ活動も近年力を入れている。
このディスクはアルバムのタイトル通りの静謐な空気感に溢れた演奏が展開されている。武満徹とタン・ドゥンをメインにした構成は大変成功しており、非常に纏りの良い仕上がりとなっている。音色も豊かで清潔感があり、広がりのあるサウンドステージを捉えた録音の良さも特筆したい。現代音楽に馴染みの無い方にもお薦めしたい1枚である。
※その他STRADIVARIUSレーベル新譜
STR 37319(2CD)
「マヌエル・マリア・ポンセ:ギター・ソナタ全集」
CD1)
①-④ソナタ・メヒカーナ(ソナタ第1番)
⑤-⑦ソナタ第3番
⑧-⑩南のソナチネ(ソナタ第7番)
(Ⅰ.田園/Ⅱ.民謡/Ⅲ.祭り)
⑪ソナタ第2番~Ⅱ.アンダンテ
⑫ソナチネ「タレガ礼讃」(ソナタ第8番)~Ⅲ.フィナーレ
CD2)
①-④ソナタ・クラシカ「フェルナンド・ソル礼讃」(ソナタ第4番)
⑤-⑧ソナタ・ロマンティカ「シューベルト礼讃」(ソナタ第5番)
⑨-⑪ソナタ第6番「パガニーニ・ソナタ」
CD1)
①-④ファン・パブロ・パオミーノ(G)
⑤-⑦⑪⑫ラファエーレ・プツェル(G)
⑧-⑩マルゲリータ・カッペレッソ(G)
CD2)
①-④ディミートリ・ミッレーリ(G)
⑤‐⑧ダヴィデ・マウーラ(G)
⑨-⑪ニコラス・サルヴァトーレ・ロッカ(G)
録音:2022~2024年ヴィチェンツァ音楽院・聖ドメニコ教会、聖バルトロメオ教会、52’20/67’35
※イタリアの名ギタリスト、ステーファノ・グロンドーナが企画したアルバム。ヴィチェンツァ音楽院でのグロンドーナの教え子たちである若手ギタリスト達によって録音された。 ポンセのギター作品は、アンドレアス・セゴビアのために多く作
曲されている。グロンドーナはセゴビアに師事していた事もあり、ポンセの正統的な解釈を聴くことが出来る。録音も良好でギターの音が肥大することは無く自然な音場が広がる。ギター音楽の愛好家にはお薦めの一枚である。
STR 37321
「プレゼント・リフレクションズ」
~エイミー・ビーチ(1867-1944):ピアノ作品集
①②2つの小品Op.54
(スコットランドの伝説/幻想的ガヴォット)
③前奏曲とフーガOp.81
④ファンタジア・フガータOp.87
⑤夕べのツグミOp.92-1
⑥朝のツグミOp.92-2
⑦孤独な母の揺籠の唄
⑧静かな水辺でOp.114
⑨-⑬5つの即興曲Op.145
カティア・スプルーガ(ピアノ)
録音:2024年6月3日 ミラノ、グリッファ・エ・フィーリ・レコーディング・ホール、52’56
※エイミー・ビーチは、近年その業績が見直されているアメリカの女性作曲家である。生前の作曲家、ピアニストとしての活躍は国際的であった。作風は、ブラームスとワーグナーの良さを併せ持つロマンチックで抒情的、イギリスにルーツを持つ民謡風な空気感がある。このアルバムもその様な作曲家のエッセンスが満載されている。ピアニストとしても大変な活躍をしていたビーチだが、超絶技巧的な雰囲気では無く色彩感を感じる作品で纏められている。スプルーガの演奏も作曲家への共感度が高く、優しさに満ちたものとなっている。ビーチという作曲家を知るための入り口としてお薦めしたい。
カティア・スプルーガはパルマ音楽院で学ぶ。20世紀の作品から距離を置いていた時期があったが研鑽は継続していた。心理学と音楽療法の修士号を取得して、音楽と感情のつながりについて研究している。特に幼少期のための音楽に情熱を注いでいる。2022年にヴィオリストのマッテオ・アマダージとデュオを組みビーチのヴィオラ作品集(STR 37259)をリリースしている。
STR 37328
リタ・ウエダ(b.1963):
誰かが平和を祈っている(私たちはその理由にならない様に)
①-⑤誰かが平和を祈っているⅠ
(祈り/空の雲雀/哀悼歌/火中の火の鳥/鳩の贈り物)
⑥-⑩誰かが平和を祈っているⅡ
(飛び立つ/炎/灰/一条の光/空からの歌)
⑪-⑯誰かが平和を祈っているⅢ
(ひとつの声/風の中へ/薄れゆく一条の光/呪文/カタルシス/平和)
アンドレア・ヴィテッロ(指揮)
アンサンブル・バイオス
サイード・ミルザザーデ(タール)
姜芸玲(古筝)
佐藤尚美(笙)
録音:
⑥-⑩2022年9月 フィレンツェ・ニッコリーニ歌劇場
①-⑤⑪-⑯2024年9月 ブレシア・聖キリスト教会
53’38
※リタ・ウエダは1963年、函館出身。現在は、ヴァンクーヴァー在住。作曲家、サウンドデザイナーとして活躍中。サイモン・フレイザー大学、カリフォルニア芸術大学で学ぶ。ルドルフ・コモロウス、ロドニー・シャーマン、ワダダ・レオ・スミス、モートン・サボトニック、ステファン・L・モスコに作曲を師事。グスタフ・マーラー国際作曲コンペティションで第2位を受賞。受賞作が、ウィーン放送管弦楽団、ウィーン室内管弦楽団で演奏される。オーケストラ作品の多くは、ウィーンのドブリンガー社から出版されている。
前衛音楽とアジアの伝統楽器の共演は、過去にも武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」のような作品がある。何方かと言うと純音楽であった武満徹の作品とは異なり、世界平和がテーマとなっている標題音楽である。大変複雑な響きで思わず身構えてしまいそうになるが、音のシャワーに身を委ねて作曲家が描いた音響世界を楽しみたい。演奏しているメンバーも、日頃からこのような音楽をレパートリーにしているだけに迷いの無い音でこちらを引き込んでくる。民族的なメロディが、ソリストたちの出身地を思わせてくれるのも聴きどころである。
タールは、イラン、アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニアその他のカフカース地方で見られる長い棹を持つリュート属の撥弦楽器である。古筝は中国の箏。笙の佐藤尚美は当初東京藝術大学でサックスを学んでいたが邦楽科の雅楽のクラスを受講したことがきっかけで、笙を石川高に師事。現在はアムステルダムを拠点に、笙とサックスの両方で活躍している。