メキメキと評価を上げているジモン・ガウデンツ&イェナ・フィルのマーラー:交響曲全集第1弾!/他、新譜5タイトル

ODRADEK RECORDSレーベル(アメリカ)

メキメキと評価を上げているジモン・ガウデンツ&イェナ・フィルの
マーラー:交響曲全集第1弾は第4番、第5番!
ODRCD 440(2CD)
「マーラー:交響曲全集Vol.1」
①スカラタッツィーニ(b.1971):魔力
②マーラー:交響曲第4番 ト長調
③スカラタッツィーニ:調和
④マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

ジモン・ガウデンツ(指揮)
イェナ・フィルハーモニー
②リナ・ジョンソン(ソプラノ)
録音 : ①②2022年4月27-30日、③④2022年5月17-20日調和,交響曲第5番)、DDD、135’02
※ここ10年ほどで特に注目を浴びている指揮者、ジモン・ガウデンツが、音楽総監督を務めるイェナ・フィルハーモニーを指揮してマーラーの交響曲、それも第4番と第5番を一気に2枚でリリース。ジモン・ガウデンツは1974年、スイスのバーゼルの生まれ。2010年から2013年までデンマークのオーデンセ交響楽団の首席客演指揮者を務め、軽快で見通しの良い新鮮な音楽で評判を呼んだ。2018年にイェナ・フィルハーモニーの音楽総監督に就任し、この歴史ある町のオーケストラの水準を大いに高めている。ここでのマーラー2曲はどちらもガウデンツの力量が良く表れた名演。音楽は常に明快で重くなることがなく、しかし分析的になったり冷たさを感じさせたりすることもなく、あくまで風通し良く前に進む。力みなく響きが鳴るのでマーラーの大編成でももたれることなく、耳に心地よい。まだ40代のガウデンツ、これを聞けば今後が楽しみになること間違いない。
各交響曲の前に収録されているアンドレア・ロレンツォ・スカルタッツィーニ(1971年生まれ)は、2018年からイェナ・フィルハーモニーのコンポーザー・イン・レジデンスを務めている。リナ・ジョンソンは近年メキメキと頭角を現しているソプラノ。ノルウェーのアウステヴォル生まれで、両親はノルウェー人と米国人。

※その他ODRADEK RECORDS新譜
ODRCD 416
シューベルト:
ピアノ・ソナタ第16番 イ短調 D845 Op.42
ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D959

ステファニア・カファーロ(ピアノ)
録音 : 2022年5月16-18日 イタリア ペスカーラ州 モンテシルヴァーノ、DDD、79’48
※イタリアのピアニスト、ステファニア・カファーロによるシューベルトのピアノ・ソナタ2曲。ステファニア・カファーロは、1972年、シチリア島のカターニアの生まれ。生地のベッリーニ音楽院で学んだ後、シエナのアカデミア・キジアーナで修了証書を得る。カファーロのシューベルトは、すっきりした音色こそイタリア人を感じさせるが、決して急いたり大仰に弾いたりすることなく、じっくりと作品に向き合って作品の内面の情感を大切にしたもの。このCDには 静寂 Silence という題が掲げられているのだが、たしかに彼女の演奏の背後に広い静寂の空間が感じられるようだ。

ODRCD 437
スティリャヌ(b.1972):
ヴィオラ・ソナタ第1番 ヘ短調
ヴィオラ・ソナタ第2番 変ホ長調

マーテー・スーチュ(ヴィオラ)
ニコラス・コスタンティヌ(ピアノ)
録音:2021年12月27-30日 キプロス ストロヴォロス市立劇場、DDD、70’36
※コンスタンティノス・Y.スティリャヌのヴィオラ・ソナタ2曲。コンスタンティノス・Y.スティリャヌは1972年、キプロス島生まれのギリシャ系作曲家。作風は近代的ロマンティシズムに東方趣味が少々加わった、といったところ、極めて聞き易い佳曲。これが世界初録音とある。
ヴィオラを演奏するのは2011年から2018年までベルリン・フィルの首席ヴィオラ奏者を務めたマーテー・スーチュ。さすが立派過ぎるくらい立派な演奏で、またハンガリー生まれのスーチュにとって東方的香りもお手の物で、完璧というべき演奏。

ODRCD 438
スティリャヌ:12の前奏曲 第1巻(2008-18)

ニコラス・コスタンティヌ(ピアノ)
録音 : 2022年6月11-13日 キプロス ストロヴォロス市立劇場、DDD、62’24
※1972年、キプロス島生まれのコンスタンティノス・Y.スティリャヌの12の前奏曲 第1巻。世界初録音。各前奏曲は芸術作品に触発されたもので、たとえば第9番は有名なクリムトの接吻に基づいているという。そのため12曲の性格は様々で変化に富んでいる。前衛的なところは皆無で、近代風のピアノ曲が好きな人には歓迎されるだろう。
ニコラス・コスタンティヌは、ブダペストのフランツ・リスト音楽院で学んだ後、ロンドンで修業を重ね、非常に幅広いレパートリーで活躍している。

ODRCD 439
ラフマニノフ:
ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 Op.28
ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.36
コレッリの主題による変奏曲 Op.42

マチュー・ベルゴ(ピアノ)
録音:2022年10月4-5日 イタリア ペスカーラ州 モンテシルヴァーノ DDD、78’55
※フランスのピアニスト、マチュー・ベルゴの弾くラフマニノフのピアノ・ソナタ2曲他。おそらくこれがマチュー・ベルゴの最初のCDと思われる。このラフマニノフは、いかにもフランス人ピアニストらしく、ロシア的な濃厚さは控えめで、鮮やかな色彩と香りに彩られたもの。技術もとても高度。ラフマニノフのピアノ・ソナタは2曲とも長いこと評価されなかったことでも知られるが、ベルゴの演奏はすこぶる魅力的だ。まだ中堅のようなので今後が楽しみなピアニストである。