「砂川晴彦の思い出に」~ヤッセン・ヴォデニチャロフ(b.1964):作品集第7集/他、新譜3タイトル

GEGA NEWレーベル(ブルガリア)

GD 418
「砂川晴彦の思い出に」
~ヤッセン・ヴォデニチャロフ(b.1964):作品集
①ルバイヤット(ウマル・ハイヤームの詩による5つのワインの歌)
②ピアノ協奏曲「水晶の森からの響きとささやき」
③アポクリファ(A.タルコフスキーに捧ぐ)
④サクソフォン協奏曲「砂の歌」
⑤シンフォニア(リュドミラ・ヴィデニチャロフの詩による)

①エメリ・ルフェーブル(バリトン)
 レオ・マルグ(指揮)アンサンブル・ラティネレール
②デシスラヴァ・シュテレヴァ(ピアノ)
 イワン・ストヤノフ(指揮)ガヴロボ室内管弦楽団
③エレクトロアコースティック作品
④ニコラス・ケープランド(A.Sax)
 ヴセヴォロド・シュムイレヴィッチ(指揮)
 パリ・サクソフォーン・アンサンブル
⑤テオドラ・ペトロヴァ(ソプラノ)
 ナディヤ・パヴロヴァ(メゾソプラノ)
 イワン・ストヤノフ(指揮)ブルガリア国立放送交響楽団
[74:12]
※ヤッセン・ヴォデニチャロフ作品集第7弾。日本にも縁の多い作曲家で今回も「砂川晴彦の思い出に」というアルバム・タイトルがついている。砂川晴彦(1946-2022)は福岡出身でフランス在住の画家・彫刻家で抽象的な作品で高い評価を得ていた。
ヴォデニチャロフはソフィア国立音楽院で学んだ後、パリ音楽院でポール・メファノに師事、IRCAMでも研鑽を積んだ。現在はパリを拠点に活動している。どの作品が砂川氏に捧げられているということではないようで、作風は不協和音の不気味な静けさ、クラスターの炸裂など駆使した硬派な現代音楽だ。

GD 421
「ナディヤ・アフェヤン アリアと歌曲集」
①ビゼー:「カルメン」~ハバネラ
②ビゼー:「カルメン」~あんたかい(第4幕 カルメンとジョゼの二重唱)
③ヴェルディ:「トロヴァトーレ」~炎は燃えて,鎖につながれて
④ヴェルディ:「ドン・カルロ」~おお、不幸な贈り物よ
⑤ヴェルディ:「アイーダ」~ああ!死にそうだわ(第4幕の裁判の場面)
⑥ポンキエッリ:「ジョコンダ」~貴婦人の声か、天使の声か
⑦サン=サーンス:「サムソンとデリラ」~愛の神よ、私を助けに来ておくれ
⑧ムソルグスキー:「ホヴァーンシチナ」~神秘の力(マルファの予言)
⑨ピプコフ:「モムチル」~エフロジーナのアリア
⑩ヴォルフ:隠棲
⑪ルフェーブル:この世で

ナディヤ・アフェヤン(メッゾソプラノ)
①③⑤⑥⑦⑨ミハイル・アンゲロフ(指揮)ブルガリア国営放送交響楽団
②⑧ルスラン・ライチェフ(指揮)ブルガリア国営放送交響楽団
④ルスラン・ライチェフ(指揮)ペルニク交響楽団
②リュボミール・ボドゥロフ(ジョゼ テノール)
⑤ニコライ・ストイロフ(バス ランフィス)、ソフィア歌劇場合唱団
⑩⑪リュベン・コンドフ(ピアノ)
録音:①③⑥⑦⑨⑩⑪1967年、②④1960年、⑤1974年、⑧1963年
※gegaが取り組む往年のブルガリアのオペラ歌手のCDのシリーズ。ナディヤ・アフェヤン(1917-2000)は、第二次大戦直後から長年に渡ってソフィア歌劇場で活躍したメッゾソプラノ。主要なメッゾ役はあらかた歌ったようである。また若い頃にベルリンとウィーンで学んだことから、東ベルリンのベルリン国立歌劇場でも活躍した。暗く深みのある彼女の歌の魅力は、これらの録音からでも十分窺えるだろう。
歌唱は概ね原語のようだが、「カルメン」の二重唱はおそらくブルガリア語歌唱と思われる。また1974年の「アイーダ」のみステレオ録音らしき広がりが感じられる(どちらもCDには記載なし)。

GD 423
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集
スラヴ舞曲集第1集 Op.46
第1番 ハ長調 「フリアント」Op.46-1/第2番 ホ短調 「ドゥムカ」Op.46-2
第3番 変イ長調 「ポルカ」Op.46-3/第4番 ヘ長調 「ソウセツカー」Op.46-4
第5番 イ長調 「スコチナー」Op.46-5/第6番 ニ長調 「ソウセツカー」Op.46-6
第7番 ハ短調 「スコチナー」Op.46-7/第8番 ト短調 「フリアント」Op.46-8
スラヴ舞曲集第2集 Op.72
第9番 ロ長調 「オドゼメク」Op.72-1/第10番 ホ短調 「マズルカ」Op.72-2
第11番 ヘ長調 「スコチナー」Op.72-3/第12番 変ニ長調 「ドゥムカ」Op.72-4
第13番 変ロ短調 「シュパチールカ」Op.72-5/第14番 変ロ長調 「ポロネーズ」Op.72-6
第15番 ハ長調 「コロ」Op.72-7/第16番 変イ長調 「ソウセツカー」Op.72-8

ピアノ・デュオ・デシスラーヴァ・シュテレヴァ&エフゲニア・シメオノヴァ:
【デシスラヴァ・シュテレヴァ(ピアノ)、 エフゲニア・シメオノヴァ(ピアノ)】
67’29
※ブラームスのハンガリー舞曲集(GD 396)から6年ぶりのピアノ・デュオ・デシスラーヴァ・シュテレヴァ&エフゲニア・シメオノヴァのgegaへの新録音は、案の定というべきドヴォルザークのスラヴ舞曲集。デシスラヴァ・シュテレヴァは、ブルガリア東部の黒海沿岸の街ブルガスで学んだ後、モスクワのチャイコフスキー音楽院に留学、東欧を中心に活躍している。エフゲニア・シメオノヴァはブルガリアの中北部、プレヴェンの音楽院で学んだ後、プラハ音楽アカデミーで研鑽を積み、さらにパリやモスクワでも学んだ。二人のデュオは、2001年にgegaからリリースされた20世紀ブルガリアを代表する作曲家パンチョ・ヴラディゲロフのCD(GD 239)で国際的にも名前が知られるようになった。スラヴ舞曲集ならばその気になればいくらでもエンターテインメント性を煽ることもできそうだが、彼女たちの演奏は極めて誠実一路。有名なフリアントでも派手に盛り上げたりせず、またドゥムカでも大げさに起伏をつけたりせずあくまでしみじみ。一歩間違えると地味になりそうなところだが、曲本来の味わいを大切にするとこんなに良い味になると彼女たちが教えてくれるような素敵な演奏だ。