GEGA NEWレーベル(ブルガリア)
※レコード芸術2021年5月号特選!
タバコフのショスタコーヴィチ交響曲全集ついに完結!
GD 389
「ショスタコーヴィチ:交響曲全集Vol.10」
ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975):
①交響曲第1番へ短調Op.10
②交響曲第15番イ長調Op.141
エミール・タバコフ(指揮)
ブルガリア国立放送交響楽団
録音:①2013年②2014年、ブルガリア国立放送スタジオ1 [70:10]
※日本語オビ解説つき
※第4番で始まった、この全集も10枚目となる第1番と第15番のカップリングで完結となります。これまでレコード芸術誌の月評では多くが準特選、特選と常に高い評価を得てきました。4、8、7、11、13、5&6、9&10、3&14、2&12、そして本盤の1&15というこれまでのリリースの仕方を振り返ると5番6番あたりを中核にして初期と後期を交互に出すという、いわば螺旋構造のような意図が感じられます。これがタバコフの意図かどうかは判然としませんが、作曲家でもあるタバコフのこと、彼が仕組んだとしても不思議ではありません。
さて最後のリリースは出発点の1番と到達点の15番。第1番に見られる緻密で室内楽的書法、時に合奏協奏曲を思わせる精妙な楽器の書き分けをタバコフはこれまで大作で見せた豪放磊落な演奏から一転、レントゲン写真を詳細に検討する医師のような繊細なアプローチに変わります。前半の2つの楽章の諧謔的性とユーモア、緩徐楽章の悲劇を予感させる暗い叙情と終楽章の表現主義を思わせる渦巻くドラマも迫力満点。第1番と同じく室内楽的書法を持つ第15番は12音や過去の作品の引用など、作曲者のさらなる様式の展開を暗示させます。タバコフは現代の作曲家として大いなる共感を持って演奏。第2楽章のチェロの独奏の美しさは大いに聴きものです。
ブルガリアの現代作曲家ヴォデニチャロフの作品集第6弾
GD 415
「ヴォイニッチ写本」
~ヤッセン・ヴォデニチャロフ(b.1964):作品集
①ヴォイニッチ写本
②コールス・アンド・ソングス・イン・トリオ
③音の影
④…子供の頃の記憶…
①アンサンブル・プレ・ドゥ・ボトレ・オレイユ(MS、Gamb四重奏)
②ジャンヌ=マリー・コンケル(Vn)
ジャン=クリストフ・ヴェルヴォワット(Hr)
永野英樹(Pf)
③フロレンティーノ・カルヴォ(マンドリン)
アンサンブルMG21
④イヴァン・ストヤノフ(指揮)
ガブローヴォ室内管弦楽団
録音:①2018年9月22日パリ、②-④ライヴ録音(年月不記載) [65:55]
※GEGAが積極的に紹介しているブルガリアの現代作曲家ヴォデニチャロフの作品集第6弾。ヴォデニチャロフはソフィア国立音楽院で学んだ後、パリ音楽院でポール・メファノに師事、IRCAMでも研鑽を積んだ。現在はパリを拠点に活動している。「ヴォイニッチ写本」は6つの小品からなる歌でベリオやメレディス・モンクばりの特殊な唱法から構成される個性的な作品。「コールス・アンド・ソングス・イン・トリオ」はヴァイオリン、フレンチ・ホルン、ピアノのための曲。日本のホープ永野英樹が鮮やかなピアノを聴かせている。オーケストラ曲「子供の頃の記憶」はクラスターや特殊奏法を駆使しながらも、音の身振りや音響にどこかユーモアを感じさせる佳曲。