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(BRIDGEレーベル)
七條恵子のモーツァルト:フォルテピアノ作品集(BCD9570)ライナーノートの日本語訳(訳:七條恵子)

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七條恵子のモーツァルト:フォルテピアノ作品集(BCD9570)ライナーノートの日本語訳(訳:七條恵子)

モーツァルト : ソロ鍵盤作品集
七條恵子 (フォルテピアノ)

プログラム
1. Fantasia in D minor, K397 (1782)
  幻想曲ニ短調 K397

Sonata in D major, K311 (1777)
  ソナタニ長調 K311
2. I. Allegro con spirito
3. II. Andante con espressione
4. III. Rondeau; Allegro

Sonata in G major, K283 (1774)
  ソナタト長調 K283
5. I. Allegro
6. II. Andante
7. III. Presto

8. Rondo in A minor, K511 (1787)
  ロンド イ短調 K511

  Sonata in A minor, K310 (1778)
  ソナタイ短調 K310
9. I. Allegro maestoso
10. II. Andante cantabile con espressione
11. III. Presto

録音場所: ドープスヘジンデ教会 ハーレム、オランダ
録音日時: 2020年8月31日〜9月2日
録音技師: ヒド・ティヘルマン
調律: ハンス・クラーマー
調律法: Nomen 1/6 comma modified meantone
使用楽器: 1802年製フレール・エ・スール・シュタイン
(修復:シッツェ・コック) www.stein1802.com
ライナーノート: ニール・ペレス・ダ・コスタ
写真: ミシェル・マラン(カバー、プロフィール)、川口成彦(楽器)

特別協力: 土岐巳奈、フランク・ヌイツ、イリス・デ・ブラーレ、七條正、聖美、久代、心春、ネッド・マックガウエン
*この録音は、このプロジェクトを支えて下さった沢山の方々の温かいご支援により実現に至りました。
〜スコット・マッククレランの思い出に捧げる〜

モーツァルトの新しいアイデンティティ

モーツァルトは自身のピアノ作品をどのように思い描いていたのだろうか?
作品のムードや音楽的意図を描写するのにどのような表現方法を用いたのだろうか?そしてそれは、今私たちの時代普段聴かれているモーツァルトのピアノ作品と、どのように違うのだろうか?ピアニスト七條恵子はこれらの問いに果敢に取り組み、モーツァルトのピアノ作品における非常に画期的な解釈をこのCD上に録音している 。プログラムは、K311ニ長調、簡潔さで知られるK283ト長調、暗く陰気であり、頻繁にモーツァルト自身の母親の死と関連づけられて語られるK310イ短調の3つのソナタを中心としている。これらはいずれも、1777年から78年にかけて、ザルツブルグに始まり、ミュンヘン、アウグスブルグ、マンハイムを経由してパリへと辿ったモーツァルトの仕事探しの旅路の途中に作曲された、もしくは演奏された作品である。もう少し後の作品である、有名な幻想曲ニ短調K397がこのCDのオープニングを飾り、半音階的なパッセージを多く含む、ロンドイ短調K511もプログラムに含まれている。これらはいずれも、ニ長調のソナタ、イ短調のソナタの前に前奏曲的に置かれ、加えて後者はソナタK283の後にくるメインディッシュ、K310の前の口直しの役割を果たしている。

モーツァルトとシュタインのピアノ

このモーツァルトの旅の途中での特筆すべき出来事は、1777年、ドイツ、アウグスブルグでのピアノ製作者ヨハン・アンドレアス・シュタイン(1728−1792)との出会いであろう。ジョン・アーヴィングによれば、「この出会いは作曲家の人生を変えるほどのもの」であり、その出会い以降モーツァルトは鍵盤楽器演奏における真に豊かな表現を見出し、会得している。(1) モーツァルトはシュタインのその頃新しく改良されたジャーマンアクションまたはウィーン式アクション(プレルツンゲンメヒャーニク、Prellzungenmechanik(独)と呼ばれる)を備えたピアノに夢中になった。このアクションは、ハンマーの素早い動きを可能にするシンプルなシングルエスケープメントのメカニズムを備えたアクションである。マイケル・ラッチャムは、シュタインの行ったジャーマンアクションの改良について このように記している。

彼[シュタイン]は、ジャーマンアクションでは普通であった、鍵盤後方に取り付けられた木製のカプセルでハンマーを回転させ、キーではなくキーフレームにヒンジで留められたエスケープメントを追加した。 鍵盤を叩くと、ハンマーからカプセルの反対側にあるハンマーシャンクの一部であるビークと呼ばれるパーツがエスケープメントに引っかかる。そしてハンマーは、ビークがエスケープメントから外れるまで、弦に向かって上向きに跳ね上がる。 ハンマーは、最初に得たエネルギーを利用して、弦に当たる瞬間まで上向きに進む。 その後、ハンマーはハンマーのレストブロックに戻る。(2)

シュタインのピアノは非常に軽いアクションを誇り、素晴らしく繊細なタッチ、速いパッセージの演奏を容易にしたのである。この事はモーツァルトにとって、それまでのチェンバロやその他の鍵盤楽器からの大きなステップアップであった。シュタインのピアノの一貫性、その均一さ、音色や音量の多様さを、モーツァルトは非常に楽しんでいた。モーツァルトはまた、シュタインのピアノの持つダンパー(消音装置)の性能も非常に高く評価していた。以下、モーツァルトが父親レオポルトに宛てた手紙の内容から、これらのことがはっきりと読み取れる。

「さて、早速シュタインのピアノ・フォルテについてから始めなくてはなりません。シュタインの仕事をまだ若干でも見ていないうちは、シュペートのクラヴィーアがぼくの一番のお気に入りでした。でも今ではシュタインのものが優れているのを認めなくてはなりません。レーゲンスブルクのよりも、ダンパーがずっとよくきくからです。強く叩けば、たとえ指を残しておこうと上げようと、ぼくが鳴らした瞬間にその音は消えます。思いのままに鍵に触れても、音は常に一様です。カタカタ鳴ったり、強くなったり弱くなったりすることなく、まったく音が出ないなどということもありません。要するに、すべてが均一の音でできています。そのピアノは、一台三〇〇フローリン以下で売ってくれないのはたしかですが、彼がつぎこんだ苦労と努力はお金で報いられるものではありません。彼の楽器が特にほかのものと変わっているのは、エスケープメントがつけられていることです。それについて気を使っているのは、百のメーカーにひとつもありません。しかし、エスケープメントがなければ、ピアノ・フォルテがカタカタ音をたてたり、残響がのこったりしないようにすることはまったく不可能です。彼のハンマーだと、鍵を叩くとき、たとえそのまま指を残しておこうと放そうと、鍵が弦に触れて飛び上がったその瞬間に、また落ちます。」(3)

シュタインは、楽器の響板の強化に関して季節と楽器の置かれる環境の関係を深く考慮したが、その事についてもモーツァルトは感銘を受けていたようだ。また、シュタインの膝ペダル装置が非常に効果的であった事も、感激した様子で父宛ての手紙に書いている。

「シュタインのピアノはよく持ちますし、共鳴板が割れたり、はじけたりすることがないよう、非常によく気を使ってあります。ピアノの響板を仕上げると、彼は、大気、雨、雪、日照といった悪魔どもに一つ残らず晒してみて、板に割れ目を作ります。割れ目ができると、木片をはめ込んで塞ぎます。それで板は本当に強くてしっかりしたものになるのです。板に割れ目ができようものなら、大喜びなのです。これ以上はそんなことが無いという保証になるのですから。時には自分で切り口を作ってみて、もう一度つなぎ合わせ、本当にしっかりしたものにすることすらあります。(…)膝で押すペダル装置も、彼のものは他のよりよくできています。ちょっと触りさえすればすぐ効くし、膝を少しそらせば全然残響が聞こえません。」(4)

もう一つ重要なことは、シュタインのピアノにはチェック(現代ではバックチェックと言われる装置)がないことだ。この装置は初期ジャーマンモデルや、アントン・ワルターなどの後期ウィーン式モデルのピアノに使用されていたもので、ハンマーが戻ってきたときにハンマーを効率的にキャッチして、不要なリバウンドを防ぐための装置だ。モーツァルトがチェックのないこのシュタインのピアノをうまく弾きこなしたという事実は、モーツァルトがこの楽器を力任せには演奏しなかったということを示している。少しでも力加減が強すぎれば、チェックのない楽器では、ハンマーがすぐにリバウンドし、打鍵のコントロールがうまくいかないからだ。モーツァルトは後年ワルター作のピアノを所有しているが、その演奏にはまた違った演奏テクニックが必要であり、そのための演奏テクニックをモーツァルトが会得したのは、彼のシュタインのピアノとの出会いよりも後年のことであろう。(5)

シュタインは、1790年に病によりピアノが作れなくなるまでピアノの製作を続けた。その後、シュタインの娘ナネッテ・シュタイン(1769–1833)が父の会社を受け継ぎ、夫のアンドレアス・シュトライヒャー(1761–1833)と弟のマテウス・シュタイン(1776–1842)と共にピアノ製作を続けた。この会社は1794年にウィーンに移っているが、そこで1802年に兄弟が別々の道を歩む事を決断するまで、フレール・エ・スール・シュタインという名前でピアノ製作を続けている。演奏家が1802年製フレール・エ・スール・シュタインのオリジナル楽器を使用したという点は、この録音の大きな魅力だ。その楽器の音色は、パリッとして透明感があり、美しく共鳴する。モーツァルトのピアノ作品に正に打って付けの、絶対的に魅惑的な音色である。ペダルは膝ペダル、音域は5オクターブ半、そして、チェックのない楽器である。チェックのないこの楽器のコントロールのテクニックを取得するのは容易ではなく、七條は長い時間を費やしたそうだが、最終的にそれによって得られる音色の多様さ、繊細でより多様な表現手段は大きな利点であったと本人は語っている。この楽器は、確実に1777年にモーツァルトを虜にしたシュタインのピアノの品質を備えた楽器であろう。

モーツァルト演奏における演奏慣習

1970年代以来、歴史的な演奏慣習(HIP)が急激に広まり、それによって、ピリオド楽器、フォルテピアノを使用した演奏への関心がぐっと拡大した。 過去五十年の間で、モーツァルトのピアノ作品も、ハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、その他の作曲家の作品と合わせて、「歴史的に適当である」と思われる楽器を用いての演奏会や録音が聴かれるようになった。 そしてこの事が、これらの作曲家達が彼らの作品において一体どのような音の世界を思い描いていたかを再考する事に役立つ事は、疑いの余地が無い。しかし、「適当である」とされる楽器の音が私たちに提供できる情報は、これらの作品がいかなる音でどのような演奏をされていたかを再考しようとする時、その一面の情報でしかない。

作曲家達、そして彼らを取り巻いた一連の音楽環境に暗黙の了解として通じ、作品に息を吹き込む為に必要とされた演奏慣習(その多くは譜面上には書き留められていない−そしてそういった演奏慣習は、芸術的に洗練され、推奨されていた)を知ろうとする事は、また違った、非常に重要な側面である。私たちは、一体どのようにしてこれらの楽譜上に記されていない慣習を発見し、そして、実演に取り入れていく事が出来るのだろうか?

ここからは、少々難しく、扱いにくい所になってくる。まずは、強弱、アクセント、パウゼ、リズム、テンポ、音符、装飾などにおいて、モーツァルトは自身が念頭に置いていた全てを楽譜上に残したわけではないという事実を認めることから始めなければならない。楽譜への忠実さが作曲家の期待を満たすことができるという考え(20世紀前半に激しく奨励された慣習)は、20世紀の初めになるまで、モーツァルトやその他殆どの音楽家達にとって絶対的に驚くべきものであった。 楽譜に忠実な解釈(正確な演奏)と芸術的なインプットを含む解釈(美しい、または、素晴らしい演奏)の違いは、18世紀半ばから20世紀初頭にかけて頻繁に議論された。カール・フィリップ・エマヌエル・バッハは、自身の書「Versuch」(1753)(日本語訳:正しいクラヴィーア奏法)で、優れた芸術的演奏の構成要素を次のように挙げている。「音の強弱、アクセントの選び方、シュネッレン(クラヴィコードの演奏テクニック)、ポルタメント、スタッカート、ヴィブラート、アルペジエーション、音の持続、リタルダンド、アッチェレランド」- 彼は、「これらのものをまったく使用しない人、または間違った場合に使用する人の演奏は、悪い演奏だ 」と警告した。(6)また、1806年の匿名の筆者によるレオポルト・モーツァルトの「ヴァイオリン奏法」の拡張版には、「正確な演奏」について「クリーンで正確なテンポの演奏」であり、「主に学生が出来るようになる事を要求されている事」だと表現している。そして、才能のある、鋭敏な感覚を持った学生は、「正しい演奏」が習得された後は、 「優雅さと表現」、「リズムやテンポの柔軟性、アゴーギクの強調に伴うアクセンチュエーション、パウゼ、その他譜面上に直接的に記されていない演奏方法を取り入れ、音楽的アフェクト、情感を強化した美しい演奏スタイル」を徐々に発見していくとされている。(7)モーツァルトの時代を取り巻くこれら2つの参考文献(モーツァルトの時代の後にも、1828年のフンメル、1832年のシュポーア、1906年のライネッケによってなど、このトピックに触れている参考文献がいくつか挙げられる。)は、楽譜上に記されていない、もしくは記され得ない演奏表現方法の使用を強く推奨している。そして、こういった演奏慣習は、訓練された芸術家には当たり前に要求されたことであったのである。

こういった、モーツァルト時代に演奏家に要求されていた楽譜上に記されなかった様々な演奏慣習の方法のいくつかは、同時代の教育的、その他の文書からアイディアを得ることができる。例えば、モーツァルトの手紙、パフォーマンス資料上のモーツァルト自身による注釈、テュルク(1789)やミルヒマイアー(1797)の鍵盤奏法についての文献から読み取れる、当時の一般的な演奏慣習などがそれである。しかし、これらの情報源が提供する情報は最終的に不完全であり、いずれにせよ、当時の演奏が実際にどのように聞こえていたかを明らかにすることは不可能である。それに、よくある事だが、こういったテクストが額面通りに受け取られたり、現代に生きる私たちの音楽的美意識や信念に沿う形で解釈しようとされた場合、問題はさらに複雑になってくる。

この録音で、演奏家の七條恵子は、19世紀の訓練を受けたピアニストの初期の録音に見受けられる演奏慣習をリサーチし、そういった演奏例がモーツァルトの演奏スタイルの再考にどのように役立つかを考えた。ベートーヴェンやシューベルトがまだ生きていた1824年に生まれた、ドイツの高名なピアニスト、カール・ライネッケのピアノロール上の録音に大きく影響されたようだ。 ライネッケは、メンデルスゾーンやシューマン、リスト、その他のその時代に影響力のあった音楽家たちと繋がっており、また、「モーツァルト演奏の伝統に完全に精通している」こと(8)、そして当時、「今も生きるモーツァルトの最も偉大で誠実な演奏者」(9)として知られていた。ライネッケは、モーツァルトのピアノ協奏曲におけるその素晴らしい演奏で、生涯を通じて何度も賞賛されている。また、モーツァルトのピアノ協奏曲を、自身でピアノ独奏用に編曲し、頻繁に演奏会で演奏したことでも知られている。幸運なことに、20世紀初頭、ライネッケはこれらの編曲のうちの2曲をピアノロールに残している。ピアノ協奏曲K.537のラルゲットとピアノ協奏曲K.488のアンダンテである(10)。 そしてこれらの録音は、今日の、私たちの慣れ親しんでいるモーツァルトにおける演奏スタイルとは、これ以上ないほどかけ離れているのだ。

ライネッケの演奏には、楽譜上には記されていない演奏方法が多々使用されている。和音のアルペジエーションや、右手と左手をわざとバラバラに弾く奏法(メロディーと伴奏の区別)などがそれに当たるが、これらの奏法は、いずれもメロディの表現力を高めたり、音楽的テクスチュアを多様にしたり、アゴーギクを強調する(音価を記されているより長く引き延ばすやり方でのアクセンチュエーション)のに役立つ奏法である。ライネッケのリズムやテンポの扱いも、楽譜上の記載とは必ずしも結びついておらず、より音楽修辞的な言葉使いや文章、フレージングの構造に基づいており、音楽の雰囲気や特徴の変化を手助けする手段として用いられている。現代の演奏スタイルからすると極端に聞こえることも多い。こういった演奏慣習については、ライネッケが生きていた時代からモーツァルトの時代に至るまで、書面による資料に文書化されている。しかしながら、こういった演奏慣習がどの程度どのように採用されていたか、という問題において、ライネッケのパフォーマンスで私たちが耳にできるそれは、文書による情報源だけでは、その質においても量においても、中々想像し難いものだ(11)。モーツァルトの死後40年も経たないうちに、ライネッケは音楽的なトレーニングを始めており、その事実から、ライネッケの演奏スタイルが、モーツァルト時代の演奏慣習を引き継いでいるかもしれないと想像するのは当然のことであろう。もちろん、それはライネッケの演奏がモーツァルトの期待通りであった、という事を示唆するものではない。しかし、彼のピアノロールは、少なくとも忘れられた演奏スタイルを覗き込むことのできる窓となり、私たちがどれだけ過去から迷走してきたか、という事を思い出させてくれる 。七條の演奏は、ライネッケだけでなく、ライネッケと同時代の演奏家、カミーユ・サン=サーンスや、テオドル・レシェティツキのピアノロール、また、ピアノロールとアコースティックの録音を行った次世代のピアニストの影響も受けているようだ。上記のピアニスト達、そしておそらく時代を更にさかのぼったモーツァルト時代のピアニスト達は、このライネッケの提示する「正しいパフォーマンス」と「美しいパフォーマンス」 に関して、確実に理解をしていたに違いない。:「しかし、正しさと美しさの明確な境界線は、一体どう判断したらいいのだろうか?正確な演奏は、場合によっては 美しい演奏とは正反対であることもあるのである。美しい演奏とは、明らかに、全てのルールに反する可能性を持っているのだ。」(12)

七條恵子はこの分野の専門家と共に、ライネッケのピアノロールを出発点として、そこからモーツァルト時代に遡ってこの録音に取り組んだ。

彼女の歴史的鍵盤楽器演奏における深い知見をもとに、そこから七條が再発見したモーツァルトは、何とも表現力豊かであり、修辞的で、今日の、大部分がきちんと整理整頓された、スタンダードなモーツァルトの演奏解釈と比較すると、時に危うくさえ感じられる。

モーツァルトの新しいアイデンティティが、爛漫たるオリジナルのシュタイン一家のピアノの音色と共に、この録音で、その姿を露わにしたのである。

(ニール・ペレス・ダ・コスタ 2021)

Neal Peres Da Costa
ニール・ペレス・ダ・コスタ:
オーストラリアを拠点に活躍する歴史的鍵盤奏者、リサーチャー。17、18、19世紀の歴史的鍵盤音楽の演奏と演奏研究におけるスペシャリスト。シドニー音楽院古楽科教授。

Keiko Shichijo
七條恵子(しちじょうけいこ) :
ピアニスト、フォルテピアノ奏者。チェンバロから現代ピアノまで幅広く演奏し、バロックから現代までの幅広いレパートリーでヨーロッパを拠点に広く演奏活動展開中。ブルージュ国際古楽コンクールフォルテピアノ部門最高位受賞と合わせてミンコフ賞受賞、ドイツ、トロッシンゲンの国際古楽コンクール「À Tre」で第1位受賞など、 国際コンクールでの数多くの受賞歴があり、世界各地の音楽祭に出演を重ねている。録音に、「シューベルティアーデ2」(ALM)、「コミタス、6つの舞曲」(Makkum Records)、「ベートーヴェン1802」(Etcetra records)、「エリック・サティ ピアノ作品集」(Acoustic Revive)などがあり、ヨーロッパ各地、アメリカ、日本 などで高く評価される。2019年ブリュージュ国際古楽音楽コンクールフォルテピアノ部門審査員。オランダ、ティルブルフ音楽院、ピアノ、フォルテピアノ教授 。ベルギー、ゲント音楽院ピアノ教授 。アムステルダム在住。

1. John Irving, “Mozart’s Words, Mozart’s Music: Untangling an Encounter with a Fortepiano and its Remarkable Consequences,” Austrian Studies, 2009, Vol. 17, Words and Music (2009), p. 29.

2. Michael Latcham, The Check in Some Earlier Pianos and the Development of Piano Technqiue around the Turn of the 18th Century, ” Early Music , Feb., 1993, Vol. 21, No. 1 (Feb., 1993) pp. 35-36.

3. モーツァルトの手紙英訳版The Letters of Mozart and His Family, ed. By Emily Anderson, 3rd rev. edn, ed. By Stanley Sadie and Fiona Smart (London, 1985), no. 225.

4. 脚注2参照

5. Michael Latcham, The Check in Some Earlier Pianos, pp. 28-38 and 41-42.

6. Bach, C. P. E. Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen (Berlin, Part. 1: 1753; Part. 2: 1762). 翻訳W. J. Mitchell (Ed.) (1949) as Essay on the True Art of Playing Keyboard Instruments. Edition 1974 New York: W.W. Norton & Company, Inc., p. 148.

7. Anon. (1806). Violinschule oder Anweisung die Violine zu spielen von Leopold Mozart. Neue umgearbeitete und vermehrte Ausgabe. Vienna, pp. 68–69. 英語翻訳 Clive Brown

8. Anon., Monthly Musical Record, July 1, 1893, p. 152.

9. Anon., Zeitschrift für Instrumentenbau, Leipzig: 24, 1903/04, p. 1039.

10. Peres Da Costa, N. (2019). Carl Reinecke’s Performance of his Arrangement of the Second Movement from Mozart’s Piano Concerto K. 488. Some Thoughts on Style and the Hidden Messages in Musical Notation. In Thomas Gartmann and Daniel Allenbach (Eds.) Rund um Beethoven.
Interpretationsforschung heute (pp. 114-149). Schliengen: Edition Argus.

11. Peres Da Costa, N. (2012) Off the Record: Performing Practices in Romantic Piano Playing. New York: Oxford University Press.

12. W. A. Mozart, Twenty Piano Compositions, ed. Carl Reinecke (Boston: Oliver Ditson Company, 1906), p. xiii

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