HCRレーベル(イギリス)
HCR 26「不可能の時間」~21世紀の無伴奏ヴァイオリン作品集
クララ・イアノッタ:ジャム瓶の中のスズメバチの死体/
ダリオ・ブッチーノ:「歳月人を待たず」第16番/
レベッカ・ソーンダース:痛み/
リザ・リム:スー・ソン・スター・マップ/
エヴァン・ジョンソン:木の上の雲/
キャシー・ミリケン:クリー/
アーロン・キャシディ:記憶の杖
デヤナ・セクリッチ(Vn)
録音:2021年7月1-2日ブリュッセル、[65:56]
※NMCが配給するイギリス、ウェスト・ヨークシャー州にあるハダーズ・フィールド大学音楽学部の自主制作レーベル。この大学の作曲科学生または関りの深い作曲家の作品を世に出す目的で設立された。若い才能の発掘の場であり、まことに羨ましい限り。大学の援助を受けて制作されているせいか、収益を考えず(?)思う存分、やりたい放題やっている、という作品が多い。
このアルバムでは全てヴァイオリン独奏のための作品が収められているが、ひとつとしてまともな作品がない。イアノッタの「スズメバチの死体」は電子音のスクラッチ・ノイズにヴァイオリンの特殊奏法が絡む。このアルバムで最も著名な作曲家ソーンダースの「痛み」も徹頭徹尾ノイズ、ノイズまたノイズの嵐。全作品そんな調子である。イギリスはビートルズやパンク・ロックを生み出した精神的土壌があるせいか、ドイツ、フランスの現代音楽界とは全く違った潮流があるようだ。大友良英、ジョン・ゾーンも顔負けの反骨精神丸出しのノイズ系現代音楽。ストリート・グラフィティのようなノイズ系ミュージックが聴きたい、という人にお薦め。
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